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怖い話

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犬神様のたたり

大多喜町の昔ばなし

1

むかし、むかし。いたずらばかりする子どもがいた。小さい子どもをいじめる乱暴者(らんぼうもの)だった。

ある時、この乱暴者が犬を木にしばりつけ、棒(ぼう)でたたいていじめた。犬はこわがってキャン キャン キャン キャン・・・ないた。
それでも、乱暴者はおもしろがって、なんどもなんども棒(ぼう)でたたいた。とうとうがまんできなくなった犬は、子どもにとびかかった。
乱暴者は
「こんちくしょう。おれに手むかう気か」
といって、とがった竹の棒を投げつけた。竹の棒が犬の腰(こし)にささり、血が流れた。

「ほれみろ、おれに手むかうやつは、みな、こうなるだ」
乱暴者(らんぼうもの)はいばって立ち去った。犬は立ち上がることができず、クンクンクンクンないた。その後、犬は足をひきずるようになり、とうとう傷(きず)がもとで死んでしまった。

2

その後、おそろしいことがおきた。乱暴者は犬と同じように、足をひきずるようになったのだ。しばらくすると、こんどはワンワン・・・ワンワン犬のようになきはじめた。しまいには、よだれを流して口もきけず苦しみ、ただクンクン・・・・・・クンクン犬のようになきながら死んでいった。
「犬をいじめた、たたりだろう」
「あん子は、いたずらばありしていたからな・・・・・・」
「だがよ、かわいそうだな・・・」

といって、村の衆(しゅう)は寺の庭に犬と子どもを、手あつくほうむった。

3

不思議(ふしぎ)なことに、このお墓をおまいりした者には、ご利益(りやく)がたくさんあった。ことに浜の漁師たちは、おまいりしたあとは、きまってたくさんの魚がとれた。そこで『犬神(いぬがみ)さま』として、まつられるようになった。やがて漁師たちばかりでなく、おおぜいの人がおまいりにやって来るようになり、寺はにぎわった。

しかし、今は墓石(はかいし)と小さな犬の石像(せきぞう)だけが残っているだけだ。

おしまい
(斉藤弥四郎 著より)

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つか坊と姉ちゃん