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楽しい話

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四人の入浴

大多喜町の昔ばなし

1
むかし、むかし、寒い冬の夜のことでした。玉子と、ざると、炭と、味噌が四人で養老渓谷(ようろうけいこく)の温泉にやってきました。
風呂場に行くともうもうと湯気が立ち、湯ぶねいっぱいにお湯があふれていました。
「さむい、さむい。こんな晩は風呂が一番だ」
ザ、ザ、ザー、と湯舟につかりました。

2
汗とあかを洗い流し
「ああ、いい気持ちだった」
と手ぬぐいを肩に、銭(ぜに)もはらわずに帰ろうとしました。番頭さんはあわてて
「風呂代をおねがいします」
といいました。
すると玉子は顔をまんまるくして
「たまたま来たんだから、いいっぺよ」
といいました。番頭さんは
「だめだめ、風呂代をはらってください」
といいました。するとざるが
「ざあっと入っただけだから、いかっぺよ」
といいました。番頭さんはまっ赤な顔をして
「だめだめ、銭はいただきます」
ときっぱりといいました。すると炭が
「すみっこの方に入っていたから、いいっぺよ」
といいました。

3
番頭さんはおおあわて
「こっちも、商売です。お願いします」
というと味噌が
「銭(ぜに)は晦日(みそか)にはらうから、いいっぺよ」
といいました。
「そうですか。晦日にはおねがいします」
と目をぱちくりさせたとさ。

おしまい
(齊藤 弥四郎 著)

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つか坊と姉ちゃん