六月上旬からは、村中の田植が始まる。 特に弓木地区は六月一日には、地区一斉に始めないといけないという昔からのしきたりがあった。この頃は、稲の害虫予防の農薬は無く、人並より早く田植をすると、必ず螟虫(めいちゅう)にたかられるので、地区一斉にすることによってこの害を分散できるということであった。小学校では、この期間中適当な時期に一週間くらい「田植休み」が全校児童に実施された。子どもの手伝いとしては、苗運び、子守り、おやつ運び、まち切り(手植えの目印のため、予め、一人分の広さに縄を張り、それに添って一株ずつうえておく)があった。猫の手も借りたい農家にとっては、子どもの手も大きな援助であった。二十五日頃にはだいたい終わった。
タグ :