当時は教科書は、全国皆同じ、いわゆる国定教科書であって、各自で購入した。
書店は大多喜町久保の恵比寿屋書店で四月の入学式までには、買わなければならなかった。また、二学期用のものは、八月中に購入した。
しかし、この購入も一家に三人も四人も小学生がいると、その購入費の工面も困難な家が多かった。だから、兄や姉のお下がりを使ったものである。けれど子供達にすれば、やはり新しい教科書が欲しかった。新しい教科書を買った友達が羨ましかった。兄弟に気持ち良く使わせるためには、新しく買った本には、必ずカバーをかけて丁寧に使った。もし、自分の家に当てはまる兄弟姉妹がいない年などは、隣家や近所で使える子どもがいる家庭とやりとりしました。こうして、少しでも教育費のかからないように気を配ったものである。
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